スレート屋根の塗装で欠かせない「縁切り」って何?知らないと雨漏りの原因に!?
スレート瓦の塗装で欠かすことのできない「縁切り(えんぎり)」って知っていますか?
日本では非常に多くの家に採用されてきたスレート瓦ですが、実は塗装工事後の雨漏りトラブルの多い屋根でもあります。
スレート瓦は施工に注意が必要な屋根材なんです。
今回は、その中でも最も気を付けるべきポイントの1つとして「縁切り」について解説します。
見落とすとほぼ確実に雨漏りに直結するので、必ず最後まで読んで理解して下さいね!
Contents
「縁切り」とは
「縁切り(えんぎり)」とは、塗装をした後にスレート瓦の「縁(ふち)」を埋めてしまった塗料を
カッター等の道具を使って「切る」作業を指します。これにより、水の排出口を確保します。
スレート瓦と呼ばれる屋根材の場合、絶対に欠かすことのできない重要な工程です。
「縁切り」が絶対に必要な理由
では、どうして「縁切り」が必要なのでしょうか?
それは、縁切りを怠ると「雨漏り」を引き起こすためです。
どういうことか、詳しく解説します。
スレート瓦は下図のように、ウロコのように重なり合う構造をしています。
そのため、スレート瓦どうしの隙間から入った雨水はしっかりと隙間から抜けるようになっています。
ところが、塗装後に「縁切り」を行わず、隙間を埋めてしまったらどうなるでしょうか?
浸入した雨水は外に出ることができなくなってしまいます。
このまま雨が降り続くと雨水は逆流し、釘を伝って屋根裏に流れ込みます。
これが縁切り不良(縁切りを怠ること)による雨漏りのメカニズムです。
【参考】縁切り不良による雨漏り事例
しっかりと乾燥してしまった塗料は非常に硬くなるため、残念ながら一度縁切り不良に陥ると切り離すことは極めて困難です。
そのため、これからスレート瓦の屋根の塗装を検討している方は、必ず提案内容を確認することが大切です。
また、「すでに塗装を終えたけど縁切りされているかわからない」という方も要注意です!
気が付いたときには下地が腐食し、葺き替えるしかないというケースも決して少なくないため、
少しでも不安な方は、必ず一度点検を行うようにしましょう!
必ず確認!正しい「縁切り」のやり方
それでは、正しい「縁切り」の方法を解説していきます。
縁切りのやり方①:カッター等で切る
1つ目は、上図のように埋まってしまった塗料をカッターや「かわすき」と呼ばれるヘラのような道具を使って手作業で切っていく方法です。
ただし、この方法の場合は
- 作業が非常に大変
- 屋根材や塗膜を傷つける恐れがある
などのデメリットがあります。
そのため、次に紹介するやり方が主流となっています。
縁切りのやり方②:「タスペーサー」を入れる
2つ目が「タスペーサー」と呼ばれる縁切り用の器具を挿入する方法です。
写真のように、スレート瓦の隙間にタスペーサーを差し込んでいきます。
この方法は、「正しい位置に差し込むだけ」なので、作業負担も非常に軽減されます。
ただし、注意点や使用できないケースもあるため、こちらもよく確認しましょう。
特に注意が必要なケースとしては、
- 3寸勾配(17度)未満は使用できない
- 挿入後に踏むとスレートが割れる恐れがある
などがあります。
このように、「縁切り」は状況によって正しく方法を使い分けなければなりません。
しっかりと正しく方法を選定できるプロに任せるようにしましょう!
「縁切り」が不要な場合もある
以下の場合は、「縁切り」は不要となります。
4mm以上隙間が空いている場合
1つ目は、スレート瓦の変形が進行し隙間が4mm以上開いている場合です。
タスペーサーが不要である理由は主に2つです。
- 隙間が大きく、塗装しても塗料で塞がらないため
- タスペーサーを入れても、すぐに落下してしまうため
ただし、もしもここまで隙間が開いてしまった場合、強風時には隙間から雨水が吹き込むため雨漏りのリスクが非常に高くなります。
塗装をしても、この隙間は元通りには戻すことができないため、残念ながらここまで劣化が進行した場合、そもそも塗装できる段階ではなくなります。
6寸以上の勾配がある
6寸以上の勾配がある屋根の場合は縁切りは必要ありません。
勾配が急であるため、雨水も勢いよく流れ、水が溜まりにくいためです。
まとめ
内容は参考になりましたか?
このような「縁切り」は重要な工程であり、職人さんの手間もかかる部分ですから必ず見積書の中に書かれます。
もしも、見積もり書の中に「縁切り」に関する内容が書かれていなかった場合は非常に注意が必要です。
また、前回の施工の見積もり内に「縁切り」の項目が無い場合は、縁切りせずにすでに仕上がってしまっている可能性があります。
これが最も危険です。
スレート瓦の塗装は、一つ間違えると雨漏りを引き起こすリスクの高い工事です。
少しでも不安がある方は、一度しっかりと知識のあるプロに見てもらうようにしましょう!
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