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【屋根カバー工法】スーパーガルテクトで後悔しないための知識|説明されない落とし穴

 
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少し家に詳しい人なら、「スーパーガルテクト」という製品名は一度は聞いたことがある人が多いと思います。

スーパーガルテクトは、ガルバリウム鋼板というジャンルで最も人気の製品です。やはり、人気があるだけあって非常に優秀な製品です。その一方で、しっかりとした知識がないと、せっかく選んだのに後悔するような結果にもなりかねません。

今回は、スーパーガルテクトという製品の特長・メリットやデメリット・後悔しない工事にするために知っておくべきことを詳しく解説します。

この記事はこんな人におすすめ
  • 屋根工事を検討している
  • スーパーガルテクトについて詳しく知りたい
  • 現在、ガルバリウム鋼板を提案されている
  • 屋根工事で失敗しないためのポイントを知りたい

それでは、いきましょう!

スーパーガルテクトとは?

実際のスーパーガルテクトの施工事例

スーパーガルテクトとは、アイジー工業株式会社から販売されている「ガルバリウム鋼板」というジャンルの製品です。一言に「ガルバリウム鋼板」といっても、製品によりさまざまな違いがあるので、まずは特徴や違いについて詳しく解説していきます。

ガルバリウム鋼板ってなに?

ガルバリウム鋼板とは、1972年にベスレヘム・スチール社(アメリカ)が開発した建材で、平たく言うと”トタンの進化版”です。加工しやすく、比較的安価な鉄は、住宅にとって非常に使い勝手のいい建材ですが、錆びることが難点です。そこで、アルミニウムと亜鉛の合金でめっき加工して錆びにくくしたのがガルバリウム鋼板です。

 

耐用年数

スーパーガルテクトをはじめとしたガルバリウム鋼板の耐用年数は25~30年程度です。一般的なガルバリウム鋼板よりも3倍の耐久性能を持つ「超高耐久ガルバ」を採用しており、非常に費用対効果に優れた屋根材です。

超高耐久ガルバとは?

超高耐久ガルバとは、ガルバリウム鋼板をさらに進化させた「SGL鋼板(開発:日鉄鋼板)」とよばれる鋼材です。

  • ガルバリウム:アルミニウム55%+亜鉛43.4%+ケイ素1.6%
  • SGL:アルミニウム55%+亜鉛41.4%+ケイ素1.6%+マグネシウム2%(このマグネシウムにより、3倍錆びにくい性能を持つようになりました。)

なお、スーパーガルテクト以外にも、以下の屋根材にもSGL鋼板が採用されており、どれも同様の耐久性を発揮します。

  • ニチハ「横暖ルーフ」
  • ケイミュー「スマートメタル」
  • ビルトマテリアル「GMルーフ」
  • セキノ興産「快適ルーフSGL」

 

製品保証

スーパーガルテクトには非常に長い保証がついています。

  • 塗膜:15年保証
  • 赤さび:20年保証
  • 穴あき:25年保証

ただし、重要な点なので後ほど詳しく解説しますが、「保証年数=メンテナンスしなくていい年数」ということでありません。

メンテナンス

メンテナンス方法は塗装です。メンテナンスの時期はスーパーガルテクトには2種類のランクがあり、それぞれで異なります。

①スーパーガルテクト
メンテナンスは施工から15年が目安です。表面には遮熱性ポリエステル塗装が施されています。

②スーパーガルテクトフッ素

メンテナンスは施工から20年が目安です。表面には2層の遮熱性フッ素塗装が施されています。

【参考】アイジー工業ホームページより「外装材の維持管理」

 

スーパーガルテクトのメリット・デメリット

メリット

①非常に軽量

最大のメリットは「軽量」であることです。和瓦の重量は1㎡あたり約48kg、化粧スレートは1㎡あたり18~20kg、スーパーガルテクトは5kgです。瓦の重さの約10分の1しかなく、地震の際の建物への負荷を低減できます。

②断熱材の性能が良い

スーパーガルテクトには、「ポリイソシアヌレートフォーム」と言う高性能な断熱材が採用されています。一般的なガルバリウム鋼板には「硬質ウレタンフォーム」が使用されていますが、スーパーガルテクトに使用されている断熱材は、より断熱性能・耐火性などに優れています。また、屋根材どうしの噛み合わせの部分にも断熱材が詰まっており、接合部からの熱が伝わることも抑制する工夫がなされています。

 

デメリット

①比較的高単価

1つ目のデメリットは費用が高いこと。スーパーガルテクトは、ガルバリウム鋼板の中でも耐久性の高い鋼材・耐久性の高い塗料・雨水の浸入を防ぐ効果の高い役物を使用しており、比較的高単価な屋根材です。

②塗り替えメンテナンスが必要

比較的高単価なスーパーガルテクトですが、塗り替えメンテナンスは必要です。メーカーで定めているメンテナンス時期の目安は15年前後です。ただし、劣化の進行速度は立地条件によっても全く異なるため、メーカーが言うように「色あせしたら」塗り替えを検討するようにしましょう。また、スーパーガルテクトをはじめとする「ガルバリウム鋼板」は、鉄をメッキとペンキで守る構造です。そのため、表面に傷がついたり、汚れたりすることで劣化が進むケースもあるため、5年に1度は点検を行うようにしましょう!

塗り替えメンテナンスのいらない屋根や、雨水の浸入をより確実に防ぐ方法など、屋根材の費用を落としてもやり方はたくさんあるので、材料を決定する前にさまざまな種類ややり方を詳しい専門家に教えてもらうのがおすすめです。

 

【重要】スーパーガルテクトで後悔しないために知っておくべきこと

大前提として、スーパーガルテクトは非常に優秀な屋根材です。さすが、金属屋根の中で業界シェアNo1を獲得する屋根材というだけのことはあると思います。

ですが、それだけにオーバートークが非常に蔓延している部分もあるので、惑わされないようにしましょう!

「30年大丈夫」の嘘

もっとも多いオーバートークがこれです。実際に、私自身

  • 「30年何もしなくて大丈夫」
  • 「メンテナンスフリーです」

と言われたと言う方とたくさん出会ってきましたが、これは真っ赤な嘘です。メーカーさんは一言もそんなこと言っていません。むしろ、「メンテナンスが必要」と明言しています。

そもそも、スーパーガルテクトをはじめとするガルバリウム鋼板は、内部が傷まないように表面に塗装が施されています。その塗装が傷んだら当然、再塗装が必要です。塗装の傷みは艶が落ちる⇒色あせの順で進行します。目にみえるレベルで色あせしている段階では、塗装による保護機能・防水機能は失われているため、めっきが傷み始めます。そのため、この時点までには塗装が必要です。

 

「いやいや!それでもしっかり保証があるんだから大丈夫でしょ!」

と思ったあなた。要注意です。

 

保証年数の間違った解釈

2つ目に多いのは、保証年数に関するポジティブすぎる拡大解釈です。スーパーガルテクトには、以下の保証がしっかりついています。

保証年数のおさらい
  • 塗膜15年
  • 赤さび20年
  • 穴あき25年

これを見て、「15年は塗料もしっかりしてるし、20年は錆びないし、25年は穴が空くこともないから何もしなくて良い」と思ってしまう方いますが、違います。どういうことか、解説します。

メーカーHPの「専門業社向け資料」のページ内に、保証年数の規定について書かれた部分があるので、注意が必要な部分を抜粋します。

【保証内容】

  • 赤さび:赤さびの発生面積が、全施工面積の5%以下であることを保証します。
  • 塗膜:2m離れて目視し、塗膜のひび、われ、はがれ、ふくれが著しく目立たないことを保証します。(変褪色を保証するものではありません

【例外条件】

  • 切断面や端面、現場加工部からの損傷。
  • 不可抗力的現象、異常な気象条件(台風、地震、落雷、酸性雨、降雹、氷雪の落下など)及び災害(火災、戦争)などによる損傷。
  • 水が滞留する部分の塗膜損傷及び電食作用による塗膜損傷。
  • 鋼板表面または、合わせ面に付着、堆積した切粉、加工屑、落ち葉、動物の排泄物、粉塵などに起因した損傷
  • 雨がかりしないため雨水による洗浄効果が期待できない部分

お分かりになりますか?少し、意味合いをまとめてみましょう。

<対象にならない項目>台風・酸性雨・落雪による影響、水がかからない部分・水が滞留する部分・つなぎ目・汚れた部分や落ち葉が乗った部分

これら以外の場所で、穴が空くか、全体の5%以上(100㎡の屋根で5㎡)錆びるか、離れて見てもわかるくらい明らかに塗膜が割れたり剥がれたりしていた場合、保証します。

と言う意味です。

つまり、(スーパーガルテクトに限らず)保証というのは万能ではないんです。平らな部分はよくても、上記のような箇所から先に劣化します。「保証内だから大丈夫!」と安心していたはずが、つなぎ目や軒先、汚れた部位などから錆びている・・・なんていう事例は決して珍しい話ではありません。

つなぎ目から劣化したガルバリウム鋼板

【写真】施工後8年でつなぎ目から傷み始めているケース

20年、30年大丈夫!を信じ込んで放置してはいけません。傷みにくい部分ではなく、”傷みやすい部分”に基準をおくのがメンテナンスの基本です。メーカーのHPやカタログにも「5年おきに点検し、汚れは落とし、色褪せてきたら再塗装を施してください」と書いてあるように、しっかりと管理をしていくことが優秀な建材を長持ちさせ、施工後に後悔しないための大切なポイントです。

 

雨漏りを引き起こさないために・・・

また、リフォームにおいて最も多いトラブルは「雨漏り」です。そのため、どんな材料を選んだとしても、最も避けなければならない”リフォームの後悔”は雨漏りです。では、どうやって雨漏りのトラブルを事前に防ぐのでしょうか?

答えは、防水シート(ルーフィングシート)です。

実際に防水シート(ルーフィングシート)を貼った様子

【写真】防水シート(ルーフィングシート)

屋根には、360°あらゆる角度から雨が吹き付けます。その雨の浸入を屋根材だけですべて防ぎ切るというのは不可能です。そのため、どんな屋根材も、その下には二次防水として「防水シート(ルーフィングシート)」が敷いてあり、これによって屋根材をかいくぐった雨水を建物の中に入れないように守っています。そのため、防水シートが破れたらその時点で雨漏りが発生します。

仮に、屋根材が50年持つものを使っても、防水シートが10年しか持たなければ最悪の場合10年で雨漏りすることもあります。

防水シートに空いてしまった穴

【写真】実際の防水シートに空いた穴

屋根材だけでなく、防水シートまでしっかり選ぶことが大切です。スーパーガルテクトが30年以上持つとしても、防水シートが15年しか持たなければ何の意味もありません。そこまで専門的に選んでくれる業者に任せるようにしましょう!

実はこんなにある!防水シートの種類

日本で最も有名な防水シートのメーカーは田島ルーフィング株式会社です。この会社から発売されている防水シートの種類は何種類あるか知っていますか?

なんと1社だけでも20種類もの防水シートのラインナップがあるんです。耐久性の違いだけではなく、遮熱性能を持つものや釘穴からの水の浸入に強いものなど、目的別に使い分けられるように様々な種類が存在します。それだけ防水シートは屋根にとって重要な部材なんですね。

 

まとめ:施工業者選びのポイント

いかがでしたでしょうか?今回は、ガルバリウム鋼板の中で最も人気のある「スーパーガルテクト」という製品で後悔しないために大切なポイントをまとめました。

スーパーガルテクトはとても優秀な屋根材です。でも、優秀な屋根材は「買ってきただけ」ではただの丈夫な金属板です。正しい知識を持って、正しく組み上げなければ優秀な性能を出すことができません。また、「屋根=①屋根材+②防水シート」です。これらをセットで考えなければ、いい工事にはなりません。そして、本来の性能以上に過剰な期待を抱いてしまったら、正しく性能を発揮していても後悔することになる場合があります。

つまり、大切なのは提案業者の知識につきます。

屋根材の説明に終始するのではなく、建物のしくみや正しい性能の理解、防水シートのことなど、あなたのために正しい知識をフル活用してくれる業者と出会い、後悔しないメンテナンスになることを祈っています。

この記事の執筆者:田中

年間約300棟の建物調査を担当。ドローンによる屋根診断、外壁の劣化診断だけでなく、全棟屋根裏まで入って調査を実施。外装劣化診断士、耐震技術認定者の資格を持つ建物診断のプロです。

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