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スレート屋根は塗装が必要!その理由と判断基準を徹底解説

 
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インターネットで検索したり、業者に聞いたりすると

  • スレート屋根は塗装しなければならない!
  • スレート屋根は塗装すべきではない!

と、意見が180°異なったりします。どっちを信じたらいいの!?と分からなくなりますよね。

私も、実際にさまざまなサイトの文章を読んでみましたが、正しいことを言っている業者もいれば、間違った解釈をしてしまっている業者、明らかに自社の得意分野に誘導しようとしている業者など、ほんとにさまざまだなぁ・・・と感じます。

偉そうなことは言えませんが、「基本的には塗装が必要。でも塗装してはいけない種類や状態もある」が正解です。

 

この時点では、どの業者も意見が違うから見解の違いでしょ?と思った人もいると思いますが、記事を読めばわかります。解釈の違いでもなんでもなく、ここには「明確な理由」と「明確な判断基準」が存在します。それでは、さっそく解説していきましょう!

スレート屋根は塗装が必要!


ひとことに「スレート屋根」といっても、天然石でできた「天然スレート」と、セメントを主原料にした「化粧スレート」に分かれます。本記事では、「化粧スレート」について解説していきます。

そして、このスレート屋根は塗装が必要な製品です。

下記の画像はスレートを製造しているKMEW社のカタログから抜粋したものです。

ここでいう「メンテナンス」が「塗装」です。

要約すると、

  • メンテナンスせず放置するとズレや割れ、雨漏りの原因になる
  • 塗装により、不具合を未然に防止し、屋根材の寿命を延ばす

という内容が記載されています。ここまででひとまず、「見解の違い」ではなく、そもそも、スレート=塗装が必要な製品ということはご理解いただけましたか?

 

スレート屋根に塗装が必要な理由

では、どうしてスレート屋根には塗装が必要なのでしょうか?それは、「スレート屋根の劣化を防ぐため」です。

スレートは、セメント85%+アスベスト(製品による)+パルプなどの繊維質15%で構成されています。

セメント:非常に水を吸う。酸性雨で溶ける。硬いが膨張には弱い。

パルプ :セメントの「もろさ」を補う”つなぎ”

セメントは水を吸います。セメントは酸性雨にさらされると溶け出し、強度を失っていきます。水は凍ると膨張するので、浸み込んだ水が凍るとスレートは割れます。水を吸って、乾いて・・・ということを繰り返すとスレートは反ります。このようにして、雨水の浸食を受けることでスレートは劣化を進行させ、やがて寿命を迎えていきます。

つまり、スレートにとっては””が天敵なんです。

上記のような、雨水による劣化を防ぐのが「塗装」です。塗装すると水をはじくようになります。水が浸み込まなければ、もろくなることも、凍結で割れることもありません。こまめに塗装をすれば劣化を防げる。塗装をしなければどんどん劣化する。

だから、スレート屋根には塗装が必要なんですね。屋根が色褪せたり、苔が生えたりしたら水が浸み込んでいるサインです。もし、そんな状態を見つけたら、塗装を行うようにしましょう。

 

塗装の目的は「美観」ではなく「延命」

スレートの平均寿命は立地条件や種類にもよりますが、おおよそ20~25年とされています。

でも、これはあくまで「塗装を行っていること」が前提です。メンテナンスしないでいる、いわば”不摂生”を続けてしまうと寿命は大幅に短くなります。築15年程度で屋根材の交換が必要になってしまうようなケースも決して珍しい話ではありません。長く使っていくためには、水が浸み込み始めた段階でメンテナンスをしていくことが大切です。

 

ただし、注意が必要なのがここからです。

 

塗装をしてはいけないスレートとは?

ひとくくりに「スレート」と呼ばれるジャンルの屋根材には、塗装できない商品も存在します。主には、2000年頃から「アスベスト」の健康被害の問題が取沙汰され、2004年にアスベスト規制が入ったことが原因です。ピアノ線よりも強い引っ張り強度をもち、かつてスレートの強度を実現していたアスベスト。法により使用が禁止されたため、各メーカーともに急遽アスベストに替わる素材を探さざるを得なくなってしまいました。そのため、2000~2008年頃に販売された製品には「強度不足」の問題が非常に多く発生しました。

その代表的な製品を紹介します。

パミール

製造会社:ニチハ株式会社

製造期間:1996~2008年

こちらはご存知の方も多いかもしれません。深刻な不具合が相次ぎ、テレビでも特集されたほどです。原因は、「抄造法(しょうぞうほう)」というスレートを層状に重ねる製造方法で作られたため、スレート自体がミルフィーユ状に剥離する不具合が多発しました。

【代表的な不具合】

  • ミルフィーユ状に剝がれる「層間剥離(そうかんはくり)」が発生する
  • 専用釘の腐食によるズレや滑落

塗装をしても、スレート自体がミルフィーユのように剝がれていくため、塗装が意味を成しません。

 

コロニアルNEO

製造会社:クボタ株式会社

製造期間:2001~2008年

現在も発売されている「コロニアルクアッド」が発売されるまでの間の約7年間製造され、非常に多く流通した製品です。そのため、2001年~2008年の間に建てたお家は注意しましょう。コロニアルNEOの劣化の特徴は、「割れ」です。縦・横・斜め、あらゆる方向に割れるため、スレート自体が欠けてしまう事例も少なくありません。

塗料は、空気に触れる面から順に収縮しながら乾燥し、硬化する性質があります。このコロニアルNEOは、この収縮に耐え切れず、塗装をした直後から割れる現象が起こります。これを「ひっぱり割れ」と言います。(ちょうど、温まったガラスを急激に冷やすと割れる現象に似ています。)

【代表的な不具合】

  • さまざまな方向に割れが頻発する
  • 外側に向かって反る

 

グリシェイドNEO

製造会社:クボタ株式会社

製造期間:2001年~

こちらも、コロニアルNEOとほぼ同時期にクボタ株式会社から発売された屋根材です。表目は木目のような模様があり、小口が一直線の”長方形”であるのが特徴です。コロニアルNEOとの違いはデザインです。同時期に同メーカーから製造されているので、出てくる劣化もほぼ同じです。

【代表的な不具合】

  • さまざまな方向に割れが頻発する
  • 外側に向かって反る

 

ちなみに、これら以外にもクボタからはスぺリアルNEO、ミュータスNEO、セイバリーNEOなど、いくつもの製品が発売されましたが、どれも発生する劣化は同じです。製品名に「NEO」がつくスレートは気をつけましょう!

 

ザルフグラッサ:クボタ株式会社(現KMEW)・・・2001~2005年

製造会社:クボタ株式会社

製造期間:2001年~2006年

こちらもやはり、クボタ株式会社から発売された製品です。「NEO」シリーズだけじゃないんですね。2001年に発売した製品の数を見ても、スレートを世に送り出したパイオニアメーカ―としてのプライドと涙ぐましいほどの努力と模索が見えますね。でも残念ながら、発生する劣化は「NEO」シリーズと同じです。コロニアルNEOと似ていますが、「コの字」の角度が違います。コロニアルNEOは120°、ザルフグラッサは90°です。どっちにしても「コの字」の切り口のスレートは要注意です!

【代表的な不具合】

  • さまざまな方向に割れが頻発する
  • 外側に向かって反る

 

レサス

製造会社:松下電工株式会社

製造期間:1999年~2006年

こちらは、クボタではなく、松下電工株式会社から発売された屋根材です。(現在はクボタと合併し、KMEWになっています。)

発生する劣化は、ここまで紹介してきた種類と同じく、強度不足による「割れの多発」です。しかし、他の屋根材よりもやや早くから発売されたため、当時はまだまだどのような劣化が発生するかが認知されておらず、すでに塗装が施されているケースもよく目にしますが、やはり大量に割れます。

【代表的な不具合】

  • さまざまな方向に割れが頻発する
  • 外側に向かって反る

 

シルバス

製造会社:松下電工株式会社

製造期間:2001年~2003年

こちらは、同じく松下電工株式会社からレサスの少し後に発売されました。1枚のスレートにスリットを入れることで高いデザイン性を実現しました。一方、やはり強度に劣るため、割れます。さらに、スリットが入ったため、割れた後に欠けやすいという致命的な弱点が発覚しました。結果、たったの3年間で販売終了となりました。

【代表的な不具合】

  • さまざまな方向に割れが頻発する
  • 欠ける
  • 外側に向かって反る

 

かわらU

製造会社:積水化学工業

製造期間:1970年代~2007年

こちらは、積水化学工業から発売されたスレートで、かわらのようなデザインから爆発的に人気を博した屋根材です。薄くて軽く、瓦のような高級感のあるデザインを実現したため、スレートへのカバー工法でも多く愛用されました。

こちら、もともとはアスベストが含まれた製品でしたが、世間の流れを受けて1990年にアスベストを含まないタイプとして再販しました・・・が、これが大きな問題で、極端な強度不足が発覚しました。割れる、欠ける、剝がれるといった不具合が多発し、悪い意味で有名な屋根材です。

【代表的な不具合】

  • さまざまな方向に割れが頻発する
  • 欠ける
  • 塗装が剝がれる

 

 

「塗装できない」とはどんな状態?

つづいて、「塗装ができない状態」とは具体的にどういう状態を指すのかを解説していきます。

結論、「塗装では直すことができない状態」です。

未だに、塗装ができない状態にもかかわらず、平気で塗装で提案されてしまっているケースは少なくありません。むしろ、非常に多いです。そのため、どんな状態だと塗装ができないのかをあなた自身が判断できるようになることがとても大切です!

それでは、明確な判断基準を解説していきましょう。

 

明確な2つの判断基準

判断基準①:延命できる状態か

1つ目が「塗装すると延命できるのか」という観点です。

「塗装」というのは、もろくなったものを元通りに強くしたり、変形したものを元の形に戻したりするものではありません。もろくならないように、変形しないように、それらを防ぐために塗装するんです。つまり、すでにもろくなってしまった・変形してしまった場合は塗装ができません。そうなる前に、「少し早いかも」と思うようなタイミングのうちに塗装を行うようにしましょう!

 

判断基準②:雨漏りしていないか

雨漏りしたら、当然塗装では直りません。雨漏りは隙間から入るもの・塗装は表面を保護するものですから無意味です。

こんな話をすると、「うちは雨漏りしてないから大丈夫だよ!」という声をよく耳にします。しかし、屋根からの雨漏りで自覚症状が出るケースなんてほとんどありません。このことを知らない方が非常に多いです。

↓↓これについては、以下の記事で詳しく解説しています↓↓

 

まずは雨漏りしているのかどうかを確実に見極めてから、塗装なのか、塗装じゃないのかを判断しましょう。

 

ポイントになるのは「トータルコスト」

最後に、塗装できるか・塗装できないかの判断よりも、最も大切な基準は「トータルコスト」です。

スレート屋根のメンテナンス費用は、①塗装 < ②重ね葺き(カバー工法)< ③葺き替えの順に高くなります。だから、耐久性の高い塗料を選び、スレートが傷む前に少ない回数の塗装のみで走り切るのが最も安いです。これが最も理想的な管理方法といえます。

一方、スレート自体がボロボロになっていたり、そもそも強度が弱いタイプの製品だったりした場合、塗装をしてもまたすぐに割れてしまいます。また、傷んだ下地に行った塗装は、本来の耐久性を発揮することができません。つまり、そんな状態のスレートに塗装をしても、数年後にはより費用の高い②重ね葺き(カバー工法)や③葺き替えが必要になります。そうなることが分かっているならば、はじめから重ね葺きをした方がよかった・・・ということです。

業者の言いなりにならず、しっかりと先を見据えて検討しましょう。

 

まとめ

参考になりましたか?

まとめると、

  • スレートは塗装が必要な製品だが、塗装に向かない種類もある
  • 劣化が進行したり、雨漏りしたら塗装はできない
  • 劣化が始まる前に塗装をすることで、メンテナンスコストを下げられる

スレート屋根は、非常に多くの家に採用されています。にもかかわらず、業者の判断ミスによるトラブルが起きやすい屋根材でもあります。金額や塗料の種類を選ぶ前に、「正しく判断できる業者か」という点を見極める姿勢を持つことを忘れないでください!

この記事の執筆者:田中

年間約300棟の建物調査を担当。ドローンによる屋根診断、外壁の劣化診断だけでなく、全棟屋根裏まで入って調査を実施。外装劣化診断士、耐震技術認定者の資格を持つ建物診断のプロです。

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